青稲(せいとう)
以前に書いた詩を作り直しました。
青 稲
流々純一
志は孤独なものだ
と、友のつぶやく。
僕はふと
緑の野辺に問いかけた。
人間とは
沢山いればいるほど
ひとりぼっちになるのですか。
幾千と知れぬ
豊かな青稲は
素知らぬ顔で風にそよぐ。
僕は叫びたかった。
地上で最も近い者でさえ
わかり合えぬよう生かされているのか。
孤独の島にたつ砂の城
戻るとそれは夢に消えてしまう。
すべてを失った僕は
またも懲りずに奇妙な城を造り始める。
大地は人間に
かようなことを課しているのか。
青稲を歌い笑い
僕の心をそわそわと甘くなぞる。
友よ、志は孤独なものだ。
この海を渡りきることを誓え。
1997.7.15作 2014変更